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OldなJazzのルーズな日々


2006-12-02 音楽

Lu Watters - Yerba Buena Jazz Band 1937-1943 watter

Lu Watters/Yaerba Buena Jazz Bandは1941年からNew OrleansスタイルのJazzを始めて、New Orleansリバイバルのムーブメントを起した人です。何でLu Wattersを聴きたかったかというと、現在巷でDixieland Jazzといわれている音楽がどうも20年代のNew Orleans系の音楽と違う。これは何でか?を知りたいというのがその理由です。このリバイバルブームは丁度Bopの始まる時期にも当たりましてBop対Old Jazzの大論争に発展したいきさつもあります。

それでYerba Buenaですが、ライナーこのCDの録音リリースされたレコードではなくプライベート録音?の様な感じです。リリースの日付データがありません。色々なバンド名/編成で

先ず1937年の録音が2トラック(Panama,Wolverine Blues)ありますが、この録音は後のYaerba Buenaのメンバによる最初のDixilandスタイルの録音だそうで、バンド名などはないらしいです。メンバにはVincent Doston(cn),Truk Murphy(tb),Bob Helm(cl),Walter Claudius(p),Dick Lammi(tub),Gordon Edwards(dr)という名前がリストされています。まだLu Wattersは含まれていません。

次に1938-39年の録音が9トラックありまして、これは"Lu Watters Sweets Ballroom Orchestar"となっています。油井正一著ではYaerba Buenaのリーダ格Lu Wattersがアマチュアの様な書き方がされていますが、実際は地方の専業バンドマンですね。名前から言ってまさに当時ありがちなSweet Musicのバンドなのです。編成は2Tp,Tb,2reeds,p,bj,bass,dr と少しい大きく、メンバに最初の録音メンバのBob Helm、Gordon Edwards、の名前があります。実際にこの楽団の録音を聴くと当時から普通のSweetとNew Orleansのスタイルの音楽の両方の混ぜこぜにやっていた様です。音楽的にはClarinetのBob Helmの存在が大きいと思われます。

Lu Wattersはこのいささか無節操とも思えるバンドを経て、メンバや編成を変えながらSweetから離れてDixieland Jazzをやる様になったと思われます。三年間くらいの短い期間ですが1941年あたりにスタイルが定まって、この時期からいわゆる「San Francisco Jazz」が始まったという事らしいです。

聴いて面白いと感じたのは、まだこの頃の録音では意外にBluesな演奏と今聴く処の「ディキシーランドジャズ」的な音楽と混じっています。この辺がディズニーランドのFirehouse Five plus Towあたりにつながるのか?これらがどう変遷して行くのかはLu Wattersを聴いて行くと分かるのでしょう。

このCDの終わり3トラックはなんとBunk Johnsonです。Bunk Johnsonのリバイルバンドは1942年ですが、この演奏はBunk Johnsonの他は全員白人でYaerba Buenaのメンバが参加して録音を残しています。録音の年代は記載されているのですが、St. Louis Bluesなどやっていてこれは興味深い録音でした。プライベート録音の様で音を間違ったりバランスが悪かったりするのですが演奏的には聴いていて感じの良い演奏です。

全体に感じる事はこの時代の演奏は確かに手探りで白人的かもしれないけれど非常に素直に、リラックスして演奏しているという感じがします。ジャズの歴史、Swingの時代などの資料を読んだ処では、New Orlenasリバイバルは下火になったSwingJazzに対して興ったBopが面白くないので対向する意味でメディアが担ぎ出したという感じがするのですが。。。。なまじメディアに主導されたために逆にこのムーブメントがNew Orleansのスタイルを固定化して「スクエア」なものにしてしまったのではないかと考える次第です。


2006-12-07 音楽

EARLY JAZZ - It Roots and Musical Development earlyjazz

ガンサー・シェーラー Gunther Schekllerの著作。Jazzの起源から初期のJazz(1930年まで)を解説した研究書。これまたヘビーでコアな本です。500page以上あります。まだ半分くらいしか読めてません。原書発刊は1967年で、日本語版は1996年。その間約30年、、、日本への紹介は遅いですね。。。値段も定価はヘビーですがこれも、古本で入手。

著者はBirth Of CoolでMilesと共演した生粋のプレイヤで、BigBand活動やら音楽院の学院長、出版社、レコードレーベルなど手がけたというとてつもなく多彩な人です。

内容は先ずJazzの起源としてアフリカの民族音楽を取り上げそのポリフォニックな構成とリズム・形式・和声・旋律・音色・即興等の要素をJazz,Bluea、Ragtimeの音楽と比較して相違点・共通点について実際の演奏を譜面化して解説しています。次に実際に音源として残っているレコードと1900年代初頭のエピソードから当時の世相と音楽、特にKing OliverとLouis Armstrongの音楽を取り上げています。この辺は何だか油井正一氏の著作みたいです。

次に最初の偉大なソロイストとして再度Louis Armstrongの演奏をKing Oliverと分かれてから1931年頃までの演奏について譜面付きで解析しています。良い演奏、マズい演奏も何処が良いのか、また悪いのか等を逐一フレーズを検証しているのが面白いです。

次の章で最初の偉大な作曲家としてJelly Roll Mortonを取り上げてこれも楽曲ごとに細かく分析をして行きます。Mortonの昔話なども面白いです。ただ内容は同じく油井正一著作と似通っています。この辺はリソースが一緒なのでしょうね。

次章からはArmstrong,Mortonらを除いた当時のプレイヤをこれまた音楽性や生い立ちまで検証しながら解説を入れて行きます。取り上げられているのは ODJB,Bix Biderbeck,Sidney Bechet,Johny Dodds,Jimmy Noon,James P Johnson,Wats Waller,Kid Ory,Freddie Keppard,Bessie Smith,など。

この後に初期のBigBand,と一章を割いてDuke Ellington、付録でGeroge Morisonのインタビュー等が続きますがまだ良く読んでいません。引き続き読んでいきます。

多岐に渡りまして、音源も1920-30年代の録音を脇に置いて聴きながらでないと何書いているか分からん部分も多々あります。

気付いた処から、読んでいて自分で考えたと同じ様な記述がありました。"Blake Out Of New Orleans"シリーズのSam MorganやKid Oryのバンドの演奏はやはり「伝統的なNew Orleansの音楽」でSPレコードが出た頃には忘れ去られていたものが奇跡的に残った貴重な録音であるとあります。

またJohny Doddsを「Bluesの人」としていました。明らかにLouis とは違うスタイルのプレイヤである事、Louisがリーダーで無いときの方がリラックスして良い演奏である事など。(ただLilのピアノはつまらんと言ってますな。)

著者は現役の演奏家であるからでしょう、Jazzは発展するもの、または発展するからJazzなんだというコンセプトであります。Bluesの特質は認めていますがJazzとは違う音楽だという立場の様ですね。Clarence Williamsもちょと名前が出て来ますが取るに足らないと言わんばかり。Biderbeckに注目してPaul Whitemanも取り上げておきながらTrumbauerについて殆ど書いてないのはアンバランスだと思います。Blue Noteについても他の著作と同じく解釈を試みてはいますが、平均律からの解釈なので結局「よく分からん」で終わってます。アフリカまで遡っていてなんで自然音階の側面を見ないのかナゾーなんですが、まあ、この辺がModern ですね。

全般には油井氏の著作の裏付けと詳細を綿密に検証している様な内容です。というか、こちらの方が原典に近いので元になっている?のかとも思えますが、これが1967年という時点での視点で、これがJazz史の原典として参照され続けているとすると未だ突っ込み不足と考えられます。まあそれでもOld Jazzについてはかなり詳しいので手に入ったら読んで見る事をお勧めします。→Early Jazz

この続刊で1930年〜1945年までのSwingを解析した著作もあるそうですが、邦訳はされていません。こちらはこちらでまた面白そうですが。

ふほう

後付けだけれどJayMcshannが亡くなりました。好きなartistだったのですが。


2006-12-12 音楽

Fletcher Henderson 1924 henderson

Fletcher Henderson Orchestraの初期の録音。BlackSwanシリーズの後の時期になります。

1924年の5/21-8/29 までの録音で、Vol2という事はこの前にVol1分があるわけで、この年は随分沢山録音したのですね。。通してDon RedmanとColeman Hawkinsが入っています。Louis Armstrongがやってくる前です。編成は Cornet,Tb,Cla,Sax,の4管にPiano,Bnajo,Drum,時折BrassBass(Tuba?)を中心としています。音源はNewYorkの"Club Arabama"と"Roseland Ballroom"に出演した時代だとライナーにありあます。当時のNew Yorkのダンスホールミュージックの音楽なのでしょうね。スタイルとしてはNew OrlenasとRag TimeとVaudevilleの合いの子みないな感じです。リード系のソロはRedmanとHawkinが取りますがHawkinsが意外とBassSaxを演奏しています。alt にLonnie Brownが入る事もある、らしい。他にもどうもAltoのソロの時はRedmanでは無いらしい。RedmanはClaの方が良いですね、やぱり。後半4曲にアコーディオンみたいな音が聞こえるのですが、ライナーによればまたgoofusだそうです。変な事する人ですね。 写真こちら

Redmanお得意のBrass/Reedsの対比スタイルのアレンジはまだ影が薄いです。変拍子っぽいリズムとかの工夫は見られますが(にしてもRagTimeっぽいけれど)どうもRedmanが吹いている時代ではまだあの作風にはなってない(Donのせい?)のではないかと思われました。Fletcher OrchestraがあのスタイルになったのはLouis Armstrongが入ってからだ、というのはガンサーシェラーと油井氏の説です。確かに時代を追って聴くとその様に言えるのですが(だからLouisはスゴいんだ、というわけだが)アレンジの手法からいってReedセクションのアンサンブルがしっかりしてないとあの作風にはならんわけです。Clarinetの音色と音域でもあのスタイルにはならなくてAltoの音域が上手に使えないといけないアレンジなので、要はDonRedman一人がトップに居座っているうちはあのアレンジにはならなかったのではないかと考えられるのですが。さてどうなんでしょう。Classicシリーズではこの後1924-1925を1CDに入れてリリースしているのですが、この時点ではまだChicagoのJazzの方が高品質かもしれない、などと思う処もあります。


2006-12-14 音楽

ディキシーランドジャズ入門 油井正一編 dixie

タイトル、ディキシーランドジャズ入門とありますが、内容は1930年代までのOldJazz全般についての解説書です。古本です。荒地出版社。発刊が1977年7刷とありますが、初刊はもっと前だと思われます。執筆は油井正一の他、河野隆次、栗村政昭、中江克己、菊池滋彌、伊藤尚志、飯塚経世、野口久光。往年のジャズ評論家やバンドマンの人々です。OldJazzをリアルタイムに聴いていた人たちでこれはこれですごい面子。タイトルが「ディキシーランド」になっているのは当時はこう書いておかないと何だか分からん、という時代だったからだと思います。正確にはNew Orlenas Jazz入門が正しいかと思われます。内容は「ジャズのはじまり」「ブルース」「ラグタイム」と「シカゴジャズ」「ブギウギ」と、ありがちな歴史と流れ、取り上げているプレイヤはこれもまあお馴染みで、Louis Armstrong,Kid Ory,Bix,Fire House five+2,Jack Teagarden,Bunk Johonson,Jerry Roll Morton,など。考えてみたらFire Houseって随分前から活動していたのでしたね。全体に記述はちょと古く考証不足の部分もありますが。ガンサー・シューラーと比べて学問的でない分読み物としては分かり易くなっているでしょう。個々のミュージシャンについての逸話等は油井氏一人の著作より幅広くて興味深いです。

日付が1958年とかの記事もあるので、New Orlenasリバイバルの後の話が結構リアルです。Lu Wattersとサンフランシスコ楽派(?)にまつわる話は一番詳しいかもしれれない。人気がある程度出て来て後、音楽の方向性から楽団が分裂しただの、Bank Johnsonの生身のJazzとNew Orleans研究家のLu Wattersとの見解の食い違いで反目しただの。どうも現代のディキシーランド・ジャズが妙にスクエアになってしまっている遠因が、NewOrleansリバイバル当時の動きに遡ってあったらっしいです。

「入門」と言ってるだけあって、音源についても紹介してくれていますが、何分古いLPだったりするので情報役立たないのですが。紹介の曲名が全部カタカナ、なんですよね。原題をもっと付けてくれたら復刻版との照合も楽だったのに。

執筆者の生い立ちなどネットで調べてみると、これまた面白い。バンドマンだった菊池滋彌氏の昔の話があります。→リンク

日本へJazzが入って来たのは1921年(大正10年)だったそうな。1923年にはJazzバンドが活動していたのでした。日本のJazzもかなり歴史古いのでした。

執筆陣は殆どご存命ではない?ですよね。ただ内容はOld Jazzの解説書としてはよく書けているいると思うので、一部古い内容は修正を加えて、復刻CDのリストと一緒に再版したらよいのじゃないかと考える次第です。


2006-12-20 音楽

Harry James 1937-1939 harry

BigBand BoxからのHarry Jamesです。Harry Jamesというとハイノートで有名なトランぺッター、かなりモダンBigBandの印象があるのですが、キャリアは結構早く、1935年からBen Pollackと一緒にやっています。1916年生まれなのでHighSchooleの頃から活動を始めていたらしい。Louis ArmstrongやBenny Goodmanの影響をモロに受けた世代でもあります。楽器については子供の頃からかなりの腕前であったそうです。1980年代始めまで演奏活動を続けていたので全録音はかなりの量になるでしょう。その中からこのシリーズでは1937年12月-1939年にかけての演奏が納められています。面白いのは1937年-1938年はメンバーがEddie Durham , Buck Clayton,Earl Warren,Jack Wshington,Herschel Evans,Jess Stacy,WAlter Page,Jo Jones,Helen Humes、、、殆どCount BasieかBennie Morten楽団かという面子なのですね。この為か非常に演奏が黒っぽくて良いです。ただライナーによると正式にはこの頃はHarry Jamesの楽団では無い様な書き方がされています。1938年4月からメンバが変わって、Arthur Rollini(ten) Harry Carney(bs)が入ったり、ピアノがPete Johnson,Albert Ammonsと入れ替わりながらと、やや過渡期らしい。このあたりから黒っぽさが抜けてますがリズム等はBessie/Kansas流儀のSwingを継承している様です。このCDのシリーズ半分がこの辺り1939年からの録音で、この時期からメンバー固定された感じがあります。この時期にAltoにSaxマウスピースで有名なClaude Lakeyが入って来ます。編成が現在のFull Band編成ではないやや小さい3tp,2Tb,3Reeds、RhythmでサウンドはSaxセクションが生かされたFletecher的なアレンジが多いです。

Claude Lakeyの音はどうか? よく分からないのですが2人のaltoのうち"Dave Matthews"というプレイヤがおり、1938年時は一人でaltoを担当していたのが後にLakeyが参加して来た様です。Lakeyは2ndにいた?みたい。ソロはJamesの音が多くてAltoのソロが中々聴けません。どちらの音も似た感じで中々区別付かないのですが双方ともOldな感じの音です。どうも今のLakeyのマウスピースとは印象が違いますね。TenorにDrew Page,Bill Lutherという名前が入っています。どちらか分からないのだけれどBen Webster似の良い感じのTenorを聴かせてくれます。

BigBandBoxシリーズなのですが、この間HarryJamesのカルテット編成の録音が1トラック入っていましてこちらはSwingというより昔のLouis Armstrongを思わせるスタイルで、BigBandの選曲もIndiana,King Porter Stomp、One O'Clock Jump、I Found A New Babyなど、かなりBluesな人です。。。。新しい録音も聴き直してみようかと思います。


2006-12-24 音楽

From Spirituals To Swing 1939 spritual

昨年の続き、、、Carnegie Hallで1938年と1939年に行われたJazzコンサートの1939年版プログラムの後半です。

後半プログラムはBenny Goodman 6重奏団、James P. Johnsonのソロ、Ida Coxの歌、Big Bill Broonzy with Albert Ammons、Sonny Terry、Kansas City Six、Count Basie & His OrchestraそしてJam Sessionと続きます。1938年に引き続いてBlues色の強いコンサートですね。

Benny Goodmanの演奏はvib Lionel Hampton,piano Fletcher Henderson、Gt Charlie Christiann。など、HamptonのvibeがGoodmanのSoloに絡みまくっているのが聴いていて面白い。

James P. Johnsonがソロの他Ida CoxのバックからCount Basieまで参加。Big Bill Broonzy with Albert Ammonsの組み合わせもこれぞBluesという感じで良いです。(個人的にはこのプログラムの中で一番気に入っている)

Kansas City SixはLester YoungにギターがCharlie ChristinとFreddie Greenの取り合わせ。スローなPaging the Devilが良いです。

Count Basie楽団はHelen Humesのボーカルが入ったりして、Oh,Lady Be GoodのJamでにぎやかに終わります。Lesterのソロは調子の良い時のLester節が聴けてうれしい。ピアノ(どっちが弾いているのかよく分からん)とChritstianのソロの時にbackのリフと合わない処があるのはご愛嬌か。

強く感じた事はCharie Christianのギターの手法はこの時期で既にModern入っているのだね。

残念な事に全体に音のバランスが非常に悪いです。かなり聴きづらいとは思いますが、1939年という時代でBluesとSwingとModernが一つのステージに乗っているという事が大変興味深いか。


2006-12-25 ふほう

blues

James Brown...

亡くなってもうた。。。73才だそうで。

James BrownのCDは残念ながら無いのでした。懐かしくなってBlues BrotheresのVideoを引っ張り出して見ました。JB牧師若いなぁ。本当にクリスマスに亡くなるなんて。なんて人でしょう。デキ過ぎって感もありますが。

さっき気が付いたのだけど、Jay Mcshannはついこの間12/7亡くなってた・・・しまった知らんかった。


2006-12-29 音楽

New Orleans Rhythm Kings 1922-1925,1935rkings

New Orleans Rhythm Kings は多くの文献で登場する白人のJazzBandですが、Original Dixielnad Jazz Bandとは異なり黒人の音楽性をより強く取り入れたバンドして最初のバンドと伝えられています。レコーディング史上で本当に初のMixedBandとしてJelly Roll Mortonが参加したという歴史も持ちます。中心となるのはNew Orleans生まれのPaul Mares(cnet) Leon Roppolo(Cla)とトロンボーンのGeorge Bruniesの2人で、編成はおおよそCnet,Tbone,Cla,SaxのセクションにBanjoを入れた4rhythmの組み合わせです。Original Dixielnad Jazz Bandより多いですが、編成としては先の"Breaking out of New Orleans"に登場するバンドに近いのですが、本当はこのくらいの編成が当時一般的だったのでは無いかと思われるわけです。

このセットはCD2枚組で1922-1925年と飛んで1935年、Rhythm Kingsの前身のFriars Sociaty Orchestraから1935年のリバイバルされたPaul Mares and His Friars Society Orchestra の録音が納められています。録音場所が1922-23年はRichmond、1925年がNew Orleans。1935年はChicago。1923年の録音にPiano Jelly Roll Mortonがよく入ります。DrumにはBen Pollackの名前もよく登場します。Pollackのルーツはこの辺にあったわけで、道理でただのSweet Musicianではないわけでした。

音楽的にはODJBよりもややテンポも遅め、ややタイトさには欠けますがそのユルい感じが黒っぽいです。当然New OrleansですのでシカケもありますがCollective Improvisationの色が強いです。この辺の書籍によればOriginal Dixielnad Jazz Bandは本当のImprovistionではなく、実はフレーズは記憶していて、さもアドリブの様に演奏していたのだという話がありまして(それはそれですごいけど)確かにそれに比べると確かにImprovisationの要素が強いという事が分かります。1935年のリバイバル時になるとCollectiveな面よりもSoloを聴かせる性格が強くなり緊張感が出て来ます。これも時代の流れか・・・

個人的にはSaxがフィーチャーされたナンバが気に入っています。TenorではなくC Melodyもよく使われています。SaxがClaと同等に良く絡むし、良く歌うので聴いていて気持ち良いです。C-Melodyを使う時にも楽器の特性が良く生かされています。この辺のスタイルのSaxはSwing時代でも聴けない優雅さがあってヨイですね。時代的にはLouis ArmstrongのHot Fiveあたりに重なるわけですが、全体にのどかでLouisの音楽の方がむしろキビしく感じるくらいです。またユルくなってもBlues的に泥臭くなるのではなくその中に優雅さが出るというのは白人的か、、しかし昔のNewOrleansの時代背景から考えて明るくて「豊かさ」があったはずなのでこういう音楽の性格はJazzとしても場違いではなく本来あるはずの音楽だったと考えられるわけです。


2006-12-31 音楽

Jay McShann 1940-1951 MacShann

今年とうとう亡くなってしまいました。Jay McShann 1916年生まれ91才。今年新譜が出たというのに残念です。本名 James Columbus McShann。Piano,Vocal,ComposerでBlues,Jump Blues,R & BのBig Name。Charlie Parkerのデビュー時のリーダーでも有名。その割にはJazz屋からは無視されてますが。この2枚組CDはその最初のレコーディング1940年から1951年までの録音が納められています。

ライナーによるとOklahoma Mukogeean出身で15才でTenorのDon Byasと活動を始め、その後Kansas Cityへやって来たそうです。1937年にCount BasieがKansas Cityを離れたのをきっかけに自分のバンドを組んでの活動を始めたとあります。1939年にバンドの再編に伴って、"Lester Youngみたいなリードの取れるプレイヤ"を捜し、当時18才のCharlie Parkerを入れたのがParkerデビューの始まりだったそうです。

収録されているのは1940年のParkerデビューでもあるKansas City録音、Moten Swing,Honeysuckle Roseの2曲から1941年TexasとChicagoで14トラック、1942-43年New York7トラック。New YorkではあのSavoy Ballroomへ出演。1944年は徴兵のため一時休止で、12月にKansasnに戻って来た時の1曲、その後1949年まではLos Angelsでの活動になり1951年からまたKansas Cityへ戻って来ます。Parkerが参加しているのは1942年まで、McShannが1942年7月録音の後にKansas Cityへ戻る興行に入り、その時に分かれてNew Yorkへ残ります。

McShannの音楽は一貫してSwingでBluesです。これまた有名な話ですが、Parkerはこの時から既にParkerで、当時として超人的な演奏技術と緻密なSoloを聴かせて、要するにModernであります。この時代までの1930年代のユルい音楽ばかり聴いた耳でParkerを聴くと本当に「腰を抜かす」演奏だって事がよく分かります。1920-30年代からの音楽と比較して聴いて言える事。今の時代では当たり前に聴こえるフレーズが如何に特異でそれがある日突然現われたという事が本当によく分かるのですが、この頃のParkerのフレーズはBluesを感じると同時に自由でかつ美しく歌っています。技巧と表現の一体感が本当に見事な演奏でそれまでに聴いた事の無い音楽でした。まさに腰を抜かした人が大勢いたわけです。

McShannはこれまたParkerがいようといまいと淡々とBluesを続けるわけです。時代の流れからか1947年あたりからHornセクションの役割が減ってBluesとしての歌と電気ギターの音が前面に出て来ます。Tenorのグロウル奏法もこの時代から頻繁に聴かれる様になりますが、これはギターの音色に対向しての事と考えられます。オブリガートやSoloを取るのはHornよりもGtが多くなりHornが入ってもリズム隊の一部としての役割が多くなります。同時に滑らかなフレージングやSwing感よりもとんがった土臭さが音楽の性格として強くなります。一般にはこの辺りのからの音楽が"Blues"として認識されているでしょうが、McShannのやっている事を見渡すと本当に元は一緒である事が分かります。

この時代以降、特に戦後からのBluesとJazz/Swingの変遷・分離は音楽的な自然変化というよりもアメリカという国の変化に合わせて(または乗せられて)分離させられてしまったというのが実際の処だろうと考える次第です。Modern Jazzは以後「芸術」としてのステータスを(白人から)得る事になりますが、今となっては閉塞化して孤立してる様だし、McShannより年下のModernの創始者はとうの昔に亡くなっておりBlues屋のおじいさんが延々と21世紀まで生きて活動を続けていたという事実から考えて、Jazz屋は絶対どこかで間違った、と判断する他ないわけです。


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文責:ためすけ後藤 [マイ・ストア] [ Amazon Jazz ] [ JUMP-Blues ]
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