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OldなJazzのルーズな日々


2006-12-31 音楽

Jay McShann 1940-1951 MacShann

今年とうとう亡くなってしまいました。Jay McShann 1916年生まれ91才。今年新譜が出たというのに残念です。本名 James Columbus McShann。Piano,Vocal,ComposerでBlues,Jump Blues,R & BのBig Name。Charlie Parkerのデビュー時のリーダーでも有名。その割にはJazz屋からは無視されてますが。この2枚組CDはその最初のレコーディング1940年から1951年までの録音が納められています。

ライナーによるとOklahoma Mukogeean出身で15才でTenorのDon Byasと活動を始め、その後Kansas Cityへやって来たそうです。1937年にCount BasieがKansas Cityを離れたのをきっかけに自分のバンドを組んでの活動を始めたとあります。1939年にバンドの再編に伴って、"Lester Youngみたいなリードの取れるプレイヤ"を捜し、当時18才のCharlie Parkerを入れたのがParkerデビューの始まりだったそうです。

収録されているのは1940年のParkerデビューでもあるKansas City録音、Moten Swing,Honeysuckle Roseの2曲から1941年TexasとChicagoで14トラック、1942-43年New York7トラック。New YorkではあのSavoy Ballroomへ出演。1944年は徴兵のため一時休止で、12月にKansasnに戻って来た時の1曲、その後1949年まではLos Angelsでの活動になり1951年からまたKansas Cityへ戻って来ます。Parkerが参加しているのは1942年まで、McShannが1942年7月録音の後にKansas Cityへ戻る興行に入り、その時に分かれてNew Yorkへ残ります。

McShannの音楽は一貫してSwingでBluesです。これまた有名な話ですが、Parkerはこの時から既にParkerで、当時として超人的な演奏技術と緻密なSoloを聴かせて、要するにModernであります。この時代までの1930年代のユルい音楽ばかり聴いた耳でParkerを聴くと本当に「腰を抜かす」演奏だって事がよく分かります。1920-30年代からの音楽と比較して聴いて言える事。今の時代では当たり前に聴こえるフレーズが如何に特異でそれがある日突然現われたという事が本当によく分かるのですが、この頃のParkerのフレーズはBluesを感じると同時に自由でかつ美しく歌っています。技巧と表現の一体感が本当に見事な演奏でそれまでに聴いた事の無い音楽でした。まさに腰を抜かした人が大勢いたわけです。

McShannはこれまたParkerがいようといまいと淡々とBluesを続けるわけです。時代の流れからか1947年あたりからHornセクションの役割が減ってBluesとしての歌と電気ギターの音が前面に出て来ます。Tenorのグロウル奏法もこの時代から頻繁に聴かれる様になりますが、これはギターの音色に対向しての事と考えられます。オブリガートやSoloを取るのはHornよりもGtが多くなりHornが入ってもリズム隊の一部としての役割が多くなります。同時に滑らかなフレージングやSwing感よりもとんがった土臭さが音楽の性格として強くなります。一般にはこの辺りのからの音楽が"Blues"として認識されているでしょうが、McShannのやっている事を見渡すと本当に元は一緒である事が分かります。

この時代以降、特に戦後からのBluesとJazz/Swingの変遷・分離は音楽的な自然変化というよりもアメリカという国の変化に合わせて(または乗せられて)分離させられてしまったというのが実際の処だろうと考える次第です。Modern Jazzは以後「芸術」としてのステータスを(白人から)得る事になりますが、今となっては閉塞化して孤立してる様だし、McShannより年下のModernの創始者はとうの昔に亡くなっておりBlues屋のおじいさんが延々と21世紀まで生きて活動を続けていたという事実から考えて、Jazz屋は絶対どこかで間違った、と判断する他ないわけです。

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