久々の楽器、、、実は昨年11月にeBayから入手していたのですが、時間が無くて梱包も解いてなかった。まだ未調整の楽器が何台もあるのですけどね・・・(^^;)今回は珍しくBuescherではなくCONNです。シリアルNo.134xxx、製造は1925年頃、New WonderまたはChuBeryと呼ばれるモデル。eBayからなのですが、OldCONNはBuescherより人気あって高くなってしまい、落札出来なかったのですが今回入札代行で入手出来ました。ラッカ仕上げのためか少し安価だった様です。古いAltoはBuescherとMartinステンシルしか吹いた事ありません。OLD-CONNは人の楽器をちょと触らせてもらった事がある程度で実はどんな音だかよく覚えてない・・・
今回の楽器も当然未調整で、バランス崩れています。一部打撃跡があり、キーガードも曲がったり修復跡があったりします。ポストもちょと曲がっている様です。管体のへこみはそれほど無い様で全体としての程度は結構良いです。マイクロチューナも動いています。管体のサビも殆ど見られません。ぶつけたか何かで修復したもののその後使われなくなってクロゼットホーンになってしまった様に見えます。
とりあえず音は鳴りました。何というか時代が同じなのに、TrueToneとはやはり違いました。音の伸びや艶はBuescherの方があります。代わりに太さが感じられます。Martinとはまた違った男らしさがある様です。Martin/Buescherと比べてネックもCONNは太めの様です。左テーブルキーは大きくてBuescher True Toneに比べて軽いです。形状はAristocratに似てますね。特にG#が軽いので動かし易いですが、表面が丸みを帯びているのですこし滑ります。G#キーにギザギザが付いたのはもう少し後か。
Chu BeryモデルはSilver Plateをよく見かけるのですが、この楽器ラッカです。残存率が95%くらいなので本当にオリジナルか?ギモンに思ってしまいました。色合い、キーガードの修復跡の鑞付けや紋様からオリジナルに見えるのですがどうなのでしょう。
Oldモデルのラッカ仕上げには不明な事があって、1920年代終わりまで金属のラッカ加工は技術は無かったので、それまでの楽器は鍍金でないとRawBrassかまたはエナメル塗装だという説があります。その説から考えると1925年頃のラッカ楽器はすべて後年のリラッカーという事になってしまうのですが、検索したところ 塗料の歴史 なんてサイトが見つかりまして、これによると1922年にラッカ塗装が始まったとあります。Sax on the Webのフォーラムに1920年代後半あたりからラッカが使われ始めた様だ、という情報がありましたが詳しい年代が不明。また、エナメルの技術も一種類だけではないらしい。。。というわけで未だよく分かっていません。
只今分解掃除中です。Buescher Aristocrat Big B、一昨年eBayより入手したものなのですが、少し分解掃除した後、時間が無くてしばらくほっておかれたものです。以前BigBのAltoを出品しましたが、実はもう一台あった。(^^;)前に出品したBigBよりは程度は良いのですがサビと汚れがかなりすごくて、中々作業が進まなかったのですが。正月で時間があるので再度気を取り直して磨き始めました。
楽器はラッカ仕上げですがかなり汚れてまして、汚れたラッカよりサビの入ったSilver Plateの方が手間がかからない感じ。SilverならWenolで磨いて終わりなのですが、ラッカはサビの部分はWenolで磨いて、ラッカはラッカポリシュで汚れ落としと二段構えで手間かかりました。また、材質がただの真鍮ではない?みたいでWenolでも中々サビが落ちないし、サビの色もどこか赤っぽいのです。えらく時間かかりましたがどうにか磨き終わり。はがれたコルクを接着して組み立てて行きます。
BigBはちょと人の楽器を借りて吹いた事があるだけでキーメカニズム以外実際どういう楽器か分かってないのです。とりあえず音が出せる様になってからリペア考えます。
Jazz ArchivesシリーズのBoogie Woogieセレクト・オムニバスです。収録Musicianは、Roosevelt Sykes,Monkey Joe Coleman,Little Brother Montgomery,Meade "Lux" Lewis,Jimmmy Yancey,Speckled Red,Benny Goodman,Lionel Hampton,Tommy Dorsey,Bob Zurke,Pinetop Smith,Count Basie,Albert Ammons,Joe tuener & Pete Johnson
Goodman や Dorseyも入っています。Boogie Woogieの影響を受けた音楽という事で含められている様です。この辺はBigBand形式で、一部手持CDとダブっています。
ジャケットには年代は1928-1939とありますが殆どが1930年代終わり、1920年代は1928年のPaintop Smithのトラックが一曲だけ。油井氏の著作にもよく出ています元祖Boogie Woogie PianistのPaintopが聴きたくて買ったのですが、確かPaintopの録音は2トラックのこっていたはず。他に有名処でMeade "Lux" Lewis、"Honky Tonk Train Blues"など収録されています。
始めて聴いたのは"Bob Zurke & His Delta Rhythm Boys"で、BigBandですがBobのPianoを強調したBoogie Woogie Bandです。生年不詳1944年没。あまり録音は残ってないです。Bunny Berigan、Bob Crosby等とも活動していて、もっと長生きしてくれたら面白い事になったのではないかと思われるプレイヤでした。
Boogie Woogieもナゾな音楽で1900年代の始めに中西部の都市(Chicago,Kansas City,Memphis ,St Louis)で発生した、とライナにあります。中西部の都市といっても結構離れているし、気が付いたらあちこちで同じスタイルのPianoが演奏されていたと、これまた起源がよく分からん音楽です。元々Piano曲なのに純粋なPiano曲として一般に知られる様になったのは1938-39年のFrom Spirituals To Swingのコンサート以降の様です。それまで録音もあまり残ってないらしい。Band Styleは別としてPianoの演奏だけでも良く聴くとそれぞれに個性があるものですね。後のR&B,R&Rの元祖でもあり、Boogie Woogie Pianoだけ聴き込むのも面白いかもしれないです。もっと捜してみよう。
昨日はストライドピアノの小林創さんがHammond Leslie Speakerを持ってくる!というので聴きに行きました。この組み合わせは現在中々聴けるものではありません。Leslie Speakerを持ち歩くプレイヤは滅多いないので、音を聴くだけでも価値があると思います。本当に良い音でしたよ。・・・でもその割に客が少ないのでした。つくば界隈の田舎でこんな音聴ける機会は無いと思うのだけど。
小林創さん wwwこちら 。それと、復習のためHammond Organ 歴史こちら。1934年が最初だそうです。
ところでラグチャイムトリオの編成はJohnny Doddsの この辺の音楽とそっっくりなのですが、狙ってやっているのか。さて。。。
Tower Recordsのワゴンを漁って見つけました。ん?誰、Jump時代の知った名前が並んでいますが、楽器はOldCONNぽい。裏ジャケにはSlim GaillardとCharlie Parkerがどうのとか書いてあって、買って来ました。買った後で気が付いた。Jump Blues時代の名サイドマン、Slim GaillardやLionel Hamptonにも参加。手持CDにも名前が載っていました。Slim Gaillardとの活動が長かった様です。Slim Gaillardはまだよく押さえていない(録音多過ぎ!)ので後回しになっていたフィールドなのですが、これまで知らずに耳にしていたプレイヤでした。1914年Los Angels生,お父さんは著名なBanjo弾きだったそうで最初はBanjoで仕事をしていたそうな。1927年Altoに、1932年からTenorに転向したとあります。1992年まで現役、2000年没なので結構長生きです。Hit曲‘Open The Door, Richard'を作った。正統派Bluesテナーで聴いてて気持ち良い、それだけ。技巧はありますが技巧をウリにしないのがBluesです。McVeaだけでなく他のメンバも同じで、このスタイルというかスタンスが本当のBlack Musicなのですがね。
このCDはサイドマンとしての作品を集めたものなので編成はマチマチですが、大方BigBandよりも小編成のHorn (Tp,Alto,Tenor) のバンドが多いです。1945年8月〜12月のApploレコードでの録音。典型的なJump Bluesバンドですが編成が小さい分各楽器の個性/特性が生かされてよく歌っています。ファズはかけずにTenor本来の音で勝負しているのが良い処です。ゴキゲン、という感じ。これを聴いた限りではMcVeaはホンカとは言えないなぁ・・・Old CONNの音が良く聴けるのですが、面白い事に録音の日時が近いのにセッションによって音色が結構異なったりしています。自分の経験ではreedによって音色に違いがあるのでいろいろ選びたいのだけど、気に入ったreedばかり捜していたらコストかかってしょうがないので程々に鳴るreedで妥協しながら吹いている。とどうしても音にバラつきが出てしまうのですが、それに似た様な状況ではないかと思われました。
他にもMcVeaはNorman GranzのJATPの最初のメンバでして、しまった忘れてた。
ストライドピアノとオルガン、いえばこの人でしょうねえ。そのまんまギャング映画のボス役にもなりそうな人ですが。この間小林創さんの演奏を聴いて、改めて聴いてみました。
1904年生まれ。教会の牧師の息子である事は有名で子供の頃から学校のオーケストラで演奏していたそうな。それなりの生まれですが、ライナーによると母親が亡くなった後に友人と一緒に家を出てJames P Johnsonの弟子になったとあります。15才から本格活動していてコンポーザーとしても活動。Squeeze Me,Ain't Misbehavin'などが有名。かなりの録音を残していますがこのシリーズはその中から1929〜1942年の代表的な作品20トラックのオムニバスです。
Fats Wallerはストライドピアノの名手と思っていたのですが、結構バンド活動が長いらしい。ライナによると1931-1932年Otto Hardwickのバンドで活動の後Fats Waller & His Rhythmという6-7ピースの楽団で8年程活動していたそうな。Victorに282面録音を残したのだそうなので、これは相当なものです。。。
このCDを聴く限りではFatsの演奏はバンドでもソロでも「歌とピアノ」がメインでした。あんまりHornはフィーチャーされませんが、バックでリフやオブリガートを入れる方式はJumpBlues的です。Fatsの風体と歌はとってもマッチしていますが、ピアノは見かけによらず繊細で非常にヨーロッパの香りがします。このCDで聴く限りではバンドではあんまりストライド奏法は出て来ませんです。まあこの辺は通して聴いてみないと分からないですが。2004年が生誕100年でその記念か、Box盤が出ていたので聴いてみます。Fats Waller
以前BigBandBoxやEddie Condonの録音を聴いて興味が湧いた、古い時代のGene Krupaはどんなんだったろう、と思って購入しました。1935年-6トラック,1936年-4トラック、1937年無し、1938年-4トラック1939年-5トラック 1940年-1トラック、の録音が納められています。
1935-1936年の録音は小編成のNewOrleansというかChicagoJazzのスタイル。1935年 Gene Krupa & His Chicagoans,1936年 Gene Kurupa & His Sing Band。1936年録音はCla-Benny Goodman,Tp-Roy Eldridge, Ten-Chu Berry。この取り合わせは逸品。キレの良いリズムに3管の絡みがSwingとChicagoスタイルの特長を出しています。録音も1936年まではChicagoでこの頃の音楽スタイルの最も良い形が聴けると思います。
1938年以降はBigBand編成になります。BigBandBoxの曲とダブッてます。1937年が入ってないのはその頃Benny Goodmanの楽団に入っていたからか。録音場所がNewYorkだったりLos AngelsだったりChicagoだったり、転々としていた時代な様。
天才ドラマーのGene Krupaですが、若い頃の音源は当時の技術からドラミングの音はなかなか良く聴こえません。このNAXOSのシリーズはその中でもKurupaの音がよく聴こえる音源を集めているらしい。イコライジングが違うのか、タイトルのWire Brush StompなどはBigBandBoxにも入っていますがブラシの音がこちらのCDの方が良く聴こる様になっています。
一曲だけ1940年Blue Rythm FantasyはNew York録音ですが、5分46秒と長い。何というかEllington的な作りの音楽で興味深いです。
秋葉原LaOXをぶらついて見つけた。Trombone/VovalのJack Teagardenはあちこちの楽団に参加していまして著名なMusicianで共演していない人はいないという顔の広いプレイヤです。
1905年生まれ。ライナーによるとお母さんの生まれが1890年なので、えっ?16才のときの子供?
兄弟はJackを入れて4人。4人とも職業音楽家になった、音楽一家だったそうです。
1918年にお父さんがインフルエンザで亡くなって、ネブラスカへ引っ越し、そこで無声映画の伴奏の仕事をしたとあります。その後テキサスへ移ったり、1927年にNewYorkへやって来て、New YorkでBen Pollackと出会い行動を共にする様になります。この時期から色々なトップ・プレイヤと共演する事になるのでしょう。
楽器の性格もあるでしょうが、Jack Teagardenはサイドマンが多く自己の楽団を持った事は少なかった様に見えます。このCDの録音年代に幅がありますが、Jackリーダ名義の録音は1939年、1941年、1943年、1947年とバラバラです。他の楽団で活動していた時期とも重なっています。レコード向きセッションだったかもしれません。TromboneはGlen Millerより沢山吹いてます。Tommy Dorseyの様なSweetさには欠けますがBluesなプレイを聴かせてくれます。Vocalも得意で、歌も結構黒っぽいと思います。録音はSwing時代のBigBand編成もありますが、Jackの持ち味としては小ー中編成の楽団の方が特長だ出ていて良いですね。そういう意味でもBluesな人だと思います。"Blues After Hours"(1947)なんて、この時代にBluesで、それもコマーシャルに走った様なクサさのないナチュラルな演奏は本当に良いですよ。
1950年代以降は世の中R&R,R&BかModernの世界になって来ましてその頃は仕事も無くなってしまった様ですが、弟妹たちとクラブで演奏したり、世界中を旅回りしたり、最晩年はNew Orleansでクラブを始めて1964年1月15日に亡くなったそうです。サッチモみたいな人気者ではないですが古き良きJazzのスタイル一生続けた、本当のJazz Manの一人ではないかな。
なかなかに難しい本です。160ページ程度でそんなに長い著作でもないのですが、文体が難しく表現が抽象的で語彙の意味するところがいまいち定義されずに話が進むという文章で、さらに前提に1920年代「ハーレムルネッサンス」と呼ばれた時代の詩人、小説家等の作品をベースにしているのでそれら作品を知らないとなおの事分からないという書籍。著者はヒューストン・A・ベイカー・ジュニア、1943年生、アメリカの大学の英文科教授。もちろんAfrican-Americanです。
この著者が結論として言わんとする事は、1920年代の一時期、ハーレムルネッサンスと呼ばれた黒人文化が興勢であった時期を、現代では「ただの失敗」であると一般的に考えられているけれど、その視点を間違いとしてこの時代の黒人の活動を肯定的に捉え、次の時代へ続く「黒人的モダニズム」の発露の時代であると結論付けています。ただ、その証明/論証の過程に出て来る当時の著作などが、自分は全く知らないし、文章表現も非常に難解なのでよく分からない、、、という事態になってしまいました。
取り上げられている作家達は、アレン・ロック、ブッカー・T・ワシントン、W・E・B・デュボイス、チャールズ・チェスナット、スターリング・ブラウン,etc. 実は全然知らないの・・・
この中で特筆したいのは、オビにもちょっとだけ書いてありますが著者のBluesに対する評価です。スターリング・ブラウンという黒人詩人が1920年代に書いた詩で、"Ma Rainay"を讃えた作品がありそれを紹介しています。ベイカーはこの1920年代のBluesとして特に"Ma Rainey"から始まるBluesシンガー"Bessie Smith","Mamie Smith","Ida Cox","Albert Hunter","Sleepy John Estes","Robert Johnson"、その他「ニューオリンズデルタ地域周辺の草の根黒人Blues歌手たち」がアメリカから世界全土へ広まって行った事をアングロサクソンの「モダニズム」とは異なった本当の意味の「黒人的モダニズム」であると述べています。「Ma Raineyを聴け」とはっきり書いています。
とても興味深いと思われるのは、OldJazz/Blues聴いていれば本当にその時代にRootsがある、とすごくよく分かるのですが、この現代に黒人の大学教授があえてこういう本を出して言わねばならなかったという事は、逆に未だにこの時代の音楽の価値が認識されずに忘れ去られているという証拠を表しています。当たり前の事が忘れ去られているからダメなのですね。考えればそんなの当たり前なのに。やはり古いBluesはもっと聴かれねばなりません。Jazzを黒人音楽だと考えているなら尚更であります。検索リンク→ハーレムルネッサンス
文責:ためすけ後藤
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