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OldなJazzのルーズな日々


2006-12-14 音楽

ディキシーランドジャズ入門 油井正一編 dixie

タイトル、ディキシーランドジャズ入門とありますが、内容は1930年代までのOldJazz全般についての解説書です。古本です。荒地出版社。発刊が1977年7刷とありますが、初刊はもっと前だと思われます。執筆は油井正一の他、河野隆次、栗村政昭、中江克己、菊池滋彌、伊藤尚志、飯塚経世、野口久光。往年のジャズ評論家やバンドマンの人々です。OldJazzをリアルタイムに聴いていた人たちでこれはこれですごい面子。タイトルが「ディキシーランド」になっているのは当時はこう書いておかないと何だか分からん、という時代だったからだと思います。正確にはNew Orlenas Jazz入門が正しいかと思われます。内容は「ジャズのはじまり」「ブルース」「ラグタイム」と「シカゴジャズ」「ブギウギ」と、ありがちな歴史と流れ、取り上げているプレイヤはこれもまあお馴染みで、Louis Armstrong,Kid Ory,Bix,Fire House five+2,Jack Teagarden,Bunk Johonson,Jerry Roll Morton,など。考えてみたらFire Houseって随分前から活動していたのでしたね。全体に記述はちょと古く考証不足の部分もありますが。ガンサー・シューラーと比べて学問的でない分読み物としては分かり易くなっているでしょう。個々のミュージシャンについての逸話等は油井氏一人の著作より幅広くて興味深いです。

日付が1958年とかの記事もあるので、New Orlenasリバイバルの後の話が結構リアルです。Lu Wattersとサンフランシスコ楽派(?)にまつわる話は一番詳しいかもしれれない。人気がある程度出て来て後、音楽の方向性から楽団が分裂しただの、Bank Johnsonの生身のJazzとNew Orleans研究家のLu Wattersとの見解の食い違いで反目しただの。どうも現代のディキシーランド・ジャズが妙にスクエアになってしまっている遠因が、NewOrleansリバイバル当時の動きに遡ってあったらっしいです。

「入門」と言ってるだけあって、音源についても紹介してくれていますが、何分古いLPだったりするので情報役立たないのですが。紹介の曲名が全部カタカナ、なんですよね。原題をもっと付けてくれたら復刻版との照合も楽だったのに。

執筆者の生い立ちなどネットで調べてみると、これまた面白い。バンドマンだった菊池滋彌氏の昔の話があります。→リンク

日本へJazzが入って来たのは1921年(大正10年)だったそうな。1923年にはJazzバンドが活動していたのでした。日本のJazzもかなり歴史古いのでした。

執筆陣は殆どご存命ではない?ですよね。ただ内容はOld Jazzの解説書としてはよく書けているいると思うので、一部古い内容は修正を加えて、復刻CDのリストと一緒に再版したらよいのじゃないかと考える次第です。

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