邦題「スウィング」 原題 SWING Changes:Big-Band Jazz in New Deal America です。オビにあります様に1930-40年代のアメリカをSwing Musicを通してその変遷を描いたもの、です。
これもヘビーです。(値段も。古本で入手しましたが^^)本文350ページ以上。脚注68ページ。発刊が1994年ですからこれはとても最近と言ってよいでしょう。著者の David W. STOWE さんはアメリカの歴史学者で他にもJazzをアメリカ史を巡る執筆が何点があります。内容は歴史ですが、年代が下ってからの執筆でもあり、主に1930年代からの新聞・雑誌記事等メディアを調査してそれを元に当時の世相研究、記述している点が ロス・ラッセルの著作とは異なります。より客観的ではありますが、現場の声などは雑誌記事等記録として残ったものを除いてあまり取り上げられておりません。やや注意はここでの"Swing"は副題のある通り、「アレンジをされたBig Band形式のJazz」を指していまして、1920年代の中編成バンドによるNewOrleas風の音楽は対象になっておりません。論の中心があのBig-Band MusicのSwingで、そのSwingが何故栄えて何故廃れたかをアメリカと言う国の社会仕組みを交えて解明しようというものです。かなり多岐に渡ります。分散して当時の雑誌記事の引用などが挟まれるので全体を読解するのが大変。とりあえず内容から。。。
この本で取り上げられている主な年代は正確には1935年のBennyGoodmanの興行の大成功以降、"Swing"という言葉がアメリカに定着した時代からで、この時代にメディアにSwingとJazzが大きく取り上げられアメリカ全体として認知されるに至り、アメリカ文化の一部として社会的に認識される。と同時に、批評や批判、論争も盛んになり、平行してアメリカのメディアビジネス/ショービジネスの中核という位置付けともなり、逆にビジネス的な理由から栄えもしたし、廃れもしたと。ちょと短過ぎかな。
2、3、面白い記述。1930年代、ダンスホールという存在がいま考える以上に経済的にも文化的にもアメリカの中で重要な位置にあった、らしい。1945年、太平洋戦争は終わりますが、景気の後退は戦後少し経過してからむしろ始まり、その時分の不景気が原因でダンスホール自体が廃れていったと。ダンスホール自体、大なり小なり不景気でも結構長い間存続していたのでこれも世相の変化かと思われます。この事はBenny Carterが1946年からしばらくバンド活動を休止していた事とも一致しています。
また、1938年に"From Spirituals To Swing "を主催したジョン・ハモンドと、エリントンの間で、Jazzと黒人の伝統を巡って誌上で論争があった事。ハモンドはコンサートの企画はもとより当時日の目を見なかった黒人アーティストの発掘紹介など、功績はあったけれど、エリントンの様なやや「ハイソな」黒人のやる事についてはいささかの偏見があったらしい。この事はMusicianサイドからは中々見えてきませんでした。ハモンド自身も音楽のスポンサとメディアという両方の顔を持ってますので、中立的な論者からは「ズル」と見られていたそうです。確かにそうですね。
もう一つは戦後の不景気時代に廃れたSwingに代わり、SweetMusicが流行った。これは少々意外。30年代以降Sweetらしい音楽は音源としても見かけてないので、、、単に復刻していないだけでしょうか。
内容が多い上に記述が分散的なので読みづらい本ですが中身濃いです。おすすめ→SWING
文責:ためすけ後藤
[マイ・ストア]
[ Amazon Jazz ]
[ JUMP-Blues ]
[]
[]
例のDVDの受け売りですが、「サヴォイ」ではフロアの前後にステージがあって2つのバンドがスタンバイ。ノンストップでダンスミュージックが演奏できたそうですね。まさにDJがレコードをどんどんかけるみたいに。
そんな中で、時にはバンド同士の勝負みたいになる事もあり、どんどん演奏もヒートアップしたそうです。熱かったんですね。
さらに「サヴォイ」は、黒人も白人も関係なく踊れる数少ない場所だったがゆえに、心良く思わない人達もいたそうですね。
まさに時代を先取りしていた「サヴォイ」!
今は、つくばにあるらしいですね。(^^)
仰る通りです。コットンクラブが黒人白人全く区別していたのに同時期に黒人も白人も同じく飲んで踊れる場所がSAVOYでした。その辺の話が、http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1566398495/ この本にも書いてあります。海を渡ったSavoyに置いてあります。(^^;)あんまり良く読めてないんだけどね。