トップ «前の日記(2007-05-25) 最新 次の日記(2007-05-29)» 編集

OldなJazzのルーズな日々


2007-05-27 音楽

ANTINIO VIVALDI Opus-10 vivaldi

珍しくClassicから。いつもお世話になっていますNAXOSのシリーズ。NAXOSのwwwを見ると分かりますがJazzよりもClassicのレーベルなのですね。それもレアシリーズ専門。。。

これはVivaldiのフルート協奏曲集作品10 フルート吹きには超有名な作品集です。全曲演奏しても50分程度でLP一枚に納まってしまうので大概のフルーティストは全曲盤をリリースしています。このNAXOSの珍しいのは演奏に当時の楽器構成に忠実に現代のベーム管ではなく、BlockFlaut、TravelsoFlautを用いている事。OP-10の譜面を見れば分かるのですが、大体がフラット系の曲でしかも音域が最低音がFとかで、 これはどう見てもF管の縦笛を対象にした作品集だろうということは一目瞭然なのです。演奏はダニエル・ロテルトという若手のガーナ人のプレイヤです。

1曲目F-dur 副題「海の嵐」ベーム管で吹いても結構難曲なのですがこれまた縦笛でやるともっとスゴい事に。。。

この曲を初めて聴いたのは中学生の時。親父のレコード棚から殆ど聴いてなかったみたいなレコードを引っ張り出してかけてみたのですが、びっくり。何に驚いたかって「音階だけで出来ている!」第一楽章のメインモチーフはただのスケールの繰り返しなのですね。これは目からウロコだった。当時音楽の構造は複雑怪奇なものと思っていたのが実は単純なスケールでも作れるという事を知った分けで、この事は後に自分でJazz/Improvisationを始めるきっかけにもなった曲です。

2曲目G-minor 副題「夜」コンツェルトというより小組曲みたいな曲ですが、これを縦笛で演奏するとまさに”夜”の情景が非常に良く表現されている事がわかります。現代のベーム管でこの曲を吹いても音色が派手なだけでちっとも夜ぽくなかったのが、作者の意図した本来の音楽となります。モダンフルートでこの曲を演奏するのは大ウソだと思われます。

3曲目D-dur 副題「ごしきひわ」これはSopranino Block Fluteで演奏されます。モダン演奏でもPiccoloが使われる時もある様ですが、Sopranioが一番合ってるかなと思います。ただ2楽章もSopraninoを使っていますが、そもそも一曲同じ楽器で通さなければならない事は全く無くて、楽章によって楽器を持ち替えても構わないはず。ここは通常のAltoを使う方が音楽的は良いんでないかと思われました。

4曲目 G-dur 副題無し。この曲だけTravelso。あまり知られてないですが木管のtravelsoとViolinの音色って非常によく解け合っていい響きを作ります。Travelsoの音色は柔らか過ぎで、音のヌケでは縦笛の方が抜けて来るので弦楽をバックする独奏にはTravelsoはあまり適さないと思うのですが、この曲ではその音色の融合と柔らかい音色の対比がこの曲の持ち味なのだろうなと感じられます。

バックも中々と感じたのは明らかに弦が抜けてトリオでFluteのSoloになる部分ではチェンバロにリュートストップをかけて音色を押さえる演奏をしています。元の譜面に指定があったのか?演奏上の工夫なのか?それにしても念入りで効果的な音作りをしています。

オリジナルの楽器にこだわるのには基本的に「楽器が変われば音楽の目的・表現が変わる」という考えがあります。その辺を踏まえて音楽を聴きたいわけです。そしてこの考えはバロックだけではなくJazzにも当てはまりまるというわけです。

お名前:
E-mail:
コメント:

2005|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|08|10|11|12|
2011|07|08|11|12|
2012|02|06|07|10|
2013|05|

文責:ためすけ後藤 [マイ・ストア] [ Amazon Jazz ] [ JUMP-Blues ]
[] []