この間Hoagy Carmichaelを聴いたので、改めてBix Beiderbeckeについて聴き直してみた。
以前聴いたBox版ではおもにBixについてはみんな知っているだろうからと、Tramばかり聴いていたので。今回はネットの情報やemusicの音源、Hoagyの音源等含めて色々聴いて興味深い事が分かったのでメモっておきます。
JSPのBox版ですが、Box盤はBixの全活動期間(1924-1930年)録音を通してのBest盤かと思ったらそうでもなく、CDDBのデータも間違っていたりしていました。Paul Whiteman時代が抜けていたりしてemusicなど他の音源も当たってみました。ネットの情報もかなりたくさんありますね。この辺を参考にしました。 bixography
Bixは1921年にシカゴ郊外の陸軍士官学校へ入れられますが、学校を抜け出してシカゴへJazzを聴きまくる。1923年からフルタイムのプレイヤとして本格活動。1924年2月に初レコーディング。この時の録音がFidgety Feet,Jazz Me Blues この録音はBox盤には無くて、この後の1927年からの録音が入っています。1924年はWOLVERINE ORCHESTRAでの録音が最初になりますが、ここにまだ学生だったHoagy Carmichaelがアレンジャーで、Tommy DorseyがTromboneに入っていたりします。Eddie Langも仲間だったり。1924年の録音は17トラックで結構多いです。
翌1925年は録音が1月に2曲だけ、飛んで1926年11月まで録音がありません。映画にもあったけれど実家へ呼び戻されていた時期らしいです。このブランクはBixの生涯にとって長いです。
本格的に活動が再開するのが1927年で、Box盤もこの時期からの録音が納められています。この時期が一番充実していた時期なのではないかと思われます。名曲"In a Mist"もこの時期なのですね。映画では遺作みたいな扱いになっていましたが。
1928年からはPaule Whieman楽団での録音がかなり多くなり、次にFankie Traumaber の楽団、その次がBix名義の楽団がちょと、になっています。Whitemanの楽団はかなりコマーシャルで、ストリングを加えたオーケストラでおよそHotJazzではないのです。が、どーーー聴いてもこの時期のBixの音が1927年代とくらべて鳴ってない、元気の無い音になってしまって来ていると思います。楽団の性格から出番も少ないし、ディスコググラフィを見ても、Whitemanには参加はしているが音が無いとかの録音があります。同時期のTraumbauerの楽団の方がBixの音が良く聴けます。1928年は実際のところPre-Swing時代で、大きなダンスホールとラジオが娯楽の主役になって来た時代でもあります。このまま1929年まで続く様です。
大恐慌前の1928-1929年は結構重要な時代でして、同じシカゴのEddieCondon等の動きと比べてみるとBixは何でこんな事やっていたのか?
この時代の録音で生彩があるのはTrumbauerの楽団と少数のBix名義のバンドの録音でしょうか。ただ、同じく楽器が鳴りきってないと感じてしまいます。1928年時点で体調は崩れてしまっているとしか考えられないのです。TrambauerはBixと一緒にWhitemanの楽団に所属していますが、同時に自己の楽団でBixの演奏を生かした録音を残しています。この時期のWitemanの楽団の録音だけではBixはまるで活動していないみたいに見えてしまいます。この時期の録音を聴く限りではBixの一番の理解者で一番Bixを気遣っていたのはTramではないか?と思えるのです。
1930年になってようやく自分を取り戻したかの様に新しいバンド、といっても1924-27年当時の仲間がまた集まった感じで録音を開始しますがBixは惜しくも1931年に病気のため亡くなってしまいます。
Bixの活動期間は1923-1930年となっていますが、残された録音を聴く限りでは本当に音楽性を生かして活動をしていた期間は多く見積もっても1926-1928年3年未満ではないのか?と思ってしまう次第です。そう考えると悲しいお話しです。
文責:ためすけ後藤
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確かに、晩年(?)のビックスは生彩を欠くというご指摘には、全く同感なのですが、ちょっと注目は、30年5月のホギー・カーマイケル楽団(演奏にみるべきものは少ないのですが、臨時編成とみられるメンバーが凄い、ビックスのほか、グッドマン、T・ドーシー、ラング、ヴェヌーティ、クルーパなど)や翌月のアーヴィング・ミルスの楽団(これも、同様で、錚々たるメンバー)での演奏です。特に、これは全くのノベルティなのですが、Barnacle Bill The Sailorにおいて、カーマイケルなどの珍妙なコーラスの合間に入るビックスのソロは、このあとのグッドマン、ドーシーのソロとともに、なかなかのものと思われます。まあ、これは、蝋燭が消える直前にちょっと光ったようなものかともみられますけど。
Barnacle Bill The SailoはカーマイケルのBox盤で聴きました。確かに歌は(音楽も)珍妙ですが、ソロは冴えてますね。
Cheers pal. I do appreciate the wiritng.