★ From Spirituals To Swing
1938年1月のベニーグッドマンのカーネギーコンサートに続いて同年12月にカーネギーホールで行われたJazzのプロモータ/パトロンである、ジョン・ハモンド企画によるJazzコンサートです。タイトルを"From Spirituals To Swing"と銘打ちCount Basieの楽団を中心として黒人、特にハモンドお気に入りのKansas出身のMusicianを大々的にフィーチャーして行われた歴史的コンサートです。実際には翌年1939年の12月にも同様の企画でコンサートが行われていまして、このBoxにはその2年分のコンサートの模様が三枚のCDに納められています。
このコンサートの様子はこれ以前にもLPで何度か発売されていたそうですが、このBoxはそのLPの再復刻と同時にLPには収録されていなかった未発表の録音も含んでおり、またオマケで1938年のコンサートの時のプログラムまで復刻させた豪華コンプリートBOXとなっています。プログラムの表紙がBessie Smithになっている事に注目して下さい。ジョン・ハモンドは1937年に亡くなったBessieSmithの音楽を高く評価すると供に、当時流行って市民権を得たSwing Jazzが黒人ルーツである事実を広めるべくこのコンサートを企画して行ったものと言えます。残念ながら音は良くありません。やはりコンサートの録音環境がスタジオとは異なっているからでしょう。
何分中身が濃いので一枚ずつ紹介します。コンサートの最初はCount Basie楽団の"Swingin' The Blues"で始まりますが、これが未発表。音は悪いのですが堂々としたLester Youngのソロが聴けます。これは貴重ですね。この後Basieの楽団、Kansas City FiveのLesterのCla/Tenor(Claの方は未発表)、Basieの小編成、Helen HumesのBlues等が続き、次にMeade Lux Lewis,Albert Ammons,Pete Johnsonの三人によるブギウギピアノの演奏が入ります。収録曲中一曲"It's All Right Baby"を除いて4曲が未発表で、この時初めて公に”Boogie Woogie”という言葉が使われてBoogie Woogieという音楽が白人を含めた一般市民(?)の前で初めて演奏された、と油井正一さんの本にありました。
ピアノによるBoogie Woogieの後にピアノにAlbert Ammonsをおいたまま(この演出が憎い)Bass:Walter Page,Drums:Joe Jonesを入れたトリオの演奏が入り、次にゴスペル/ブルースシンガーのSister Rosetta Tharpe のギターと歌を聴かせます。Rosettaの歌は未発表です。Swing が如何にGospel,Blues,Boogie Woogieと密接に関係しているかをハモンドが意識しており人々に知らせようとしたかがよく分かります。
この次に"Mitchell's Christian Singers"というボーカルグループのこれまたホンモノのゴスペルの歌が三曲入ります。クリスマスですからね。この演出も憎いです。→
From Spirituals To Swing